7月のある蒸し暑い日曜日、高校2年の真央は友人たちとの待ち合わせに遅れてしまった。彼女が走り抜ける町の景色は、日差しに映える鮮やかなコントラストを放ち、空はクリアブルーに広がっていた。だが、運命は彼女に小さないたずらを準備していた。公園の噴水が突然勢いよく水を噴き出し、真央は避ける間もなく水浸しになってしまう。
恥じらいながらも、水で透けたシャツを必死に抑える彼女。その時、彼女は気づかない。これが彼女の人生にとって、意外な転機となる出来事の始まりだったことに。
近くにいたイラストレーター志望の青年、涼介は、偶然その場面に出くわす。彼はこの一瞬の美しさと真央の表情に心を奪われ、思わずスケッチブックに彼女の姿を描き始める。絵を完成させた涼介は、真央に声をかける勇気を持てずにいたが、彼女の友人たちが現れたことで、彼は決心する。
「これ、あなたに捧げる絵です。もしよかったら、僕のアート展を見に来てください。」
真央は涼介の真摯な眼差しと、彼の才能に心を動かされる。彼女は涼介に感謝の言葉を述べ、アート展の招待を受け入れる。
物語は、真央がアート展で涼介と再会し、彼の創造の世界に足を踏み入れるところで幕を開ける。そこで彼女は、涼介が描く世界の中で、自分自身もまた新たな自分を見出していく。そして、あの夏の日の出来事が二人の運命を結びつけたことを知るのだった。
